(Do Not Resuscitate)
医療現場で勤務していると、カルテや申し送りの場で「DNR」という言葉を耳にする機会があるかもしれません。特に小児科やNICU(新生児集中治療室)といった命と向き合う現場では、非常に重く、しかし避けては通れない重要なキーワードです。
DNRは、決して「治療を諦める」ことではなく、「患者さんやご家族の意向を尊重し、穏やかな最期を迎えるための選択肢」の一つです。今回は、新人看護師さんや介護職の方が知っておくべき、DNRの正しい意味と現場での向き合い方について解説します。
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「DNR」の意味・定義とは?
DNRとは、英語の「Do Not Resuscitate」の略で、日本語では「蘇生処置拒否」と訳されます。心停止や呼吸停止が起きた際、心臓マッサージや人工呼吸器の装着、薬剤投与といった心肺蘇生措置を行わないことを指す医学的指示のことです。
特にNICUなどの小児医療では、根治が極めて困難な疾患を持つ赤ちゃんに対し、苦痛を伴う延命治療を繰り返すのではなく、家族と相談の上で「自然な看取り」を選択する場合にこの指示が出されます。現代の電子カルテでは、患者さんの基本情報欄に赤字で強調表示されたり、サマリー画面に明確に記載されたりすることが一般的です。
医療・介護現場での実際の使われ方・例文
現場では、医師が家族と話し合いを重ね、その結果として看護師や介護スタッフに情報共有されるという流れが一般的です。以下のような形で使われることが多いです。
- 「Aちゃんのカンファレンスにて、ご両親の希望を尊重し、今後はDNRの方針でケアを進めることになりました。」
- 「緊急時の対応について確認です。当患者様はDNR指示が出ていますので、万が一の際は医師へ即時報告し、蘇生は行わないことになっています。」
- 「医師から家族へ説明済みで、カルテにもDNRの記載があります。ケア中に急変があった場合は、慌てずに指示書を確認し、苦痛緩和のケアを優先しましょう。」
「DNR」の関連用語・現場での注意点
DNRに関連して、近年では「DNAR(Do Not Attempt Resuscitation:蘇生を試みない)」という言葉がより正確であるとして使われることが増えています。また、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」という、人生の最終段階における医療やケアについて前もって話し合っておくプロセスも重要視されています。
新人スタッフが特に注意すべき点は、「DNR=ケアをやめることではない」という点です。蘇生を行わない指示であっても、苦痛を除去する緩和ケアや、ご家族の心のケアはこれまで以上に大切になります。また、自己判断で「DNRだから急変時に何も報告しなくていい」と勘違いするのは厳禁です。必ず医師への報告と指示の確認を徹底してください。
まとめ:現場で役立つ「DNR」の知識
DNRという言葉には、患者さんとその家族の深い想いが込められています。最後に、押さえておくべきポイントをまとめます。
- DNRは「蘇生処置を行わない」という医療的な指示である。
- 決して治療やケアの放棄ではなく、尊厳ある看取りのための選択肢である。
- 最新のカルテでは見落としがないよう管理されているが、自分でも必ず方針を確認する。
- 蘇生はしなくても、苦痛の緩和や家族への寄り添いは最優先で行う。
急変という緊迫した場面では、誰でも焦ってしまうものです。しかし、このような知識を持っておくことで、いざという時に立ち止まり、その患者さんにとって本当に必要なケアは何なのかを考える余裕が少しだけ生まれるはずです。一緒に頑張っていきましょうね。
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