(Timed Up and Go Test)
「TUG(タグ)」という言葉を、リハビリや介護の現場で耳にしたことはありませんか?これは「Timed Up and Go Test」の略称で、簡単に言うと「座った状態から立ち上がり、3メートル歩いて戻ってきて再び座るまでの時間」を測る、歩行能力の評価テストです。
たったこれだけの検査ですが、転倒リスクの予測や身体機能の変化を把握する上で非常に重要です。医師やリハビリ職だけでなく、日々のケアに関わる看護師や介護職にとっても、患者さんの「今」を知るための大切な指標となります。
「TUG」の意味・定義とは?
TUGは、高齢者の移動能力やバランス能力、そして転倒リスクを評価するために世界中で使われている、標準的な身体機能検査のひとつです。特に複雑な機器は必要なく、椅子とストップウォッチさえあればどこでも実施できるのが大きな特徴です。
正式名称は「Timed Up and Go Test」といい、直訳すると「時間を計って、立ち上がって、行く(歩く)」という動作そのものが名前になっています。カルテ記載や申し送りでは、単に「TUG」と略されることが一般的です。ちなみに、2026年現在の現場では、電子カルテの測定データ入力欄に「TUG値:〇秒」と直接記録され、過去の数値と比較してリハビリ効果を判定するツールとしても定着しています。
医療・介護現場での実際の使われ方・例文
現場では、多職種連携の中で患者さんの身体状況を共有するためにこの言葉が使われます。「歩き方が変わった気がする」といった主観的な感覚を、数値という客観的な指標で補足するのが目的です。
- 「Aさんの転倒リスクを確認したいので、今朝の申し送り後にTUGを測定しておいてもらえますか?」
- 「先月と比べてTUGが3秒も遅くなっているようです。下肢の筋力が落ちているかもしれないので、リハビリの内容を見直しましょう。」
- 「TUGの計測中にふらつきが見られたので、移動時の見守りレベルを上げてください。」
「TUG」の関連用語・現場での注意点
TUGとセットで覚えておきたいのが、「バランス評価」や「転倒リスク評価」といった言葉です。また、「10m歩行テスト」などの他の歩行能力評価と混同しないよう注意が必要です。TUGはあくまで「立ち上がりから着座までの一連の動作」を見るものだからです。
新人スタッフが特に注意すべき点は、測定時の安全性です。タイムを競うものではないため、患者さんが無理をして焦って立ち上がろうとすると、逆に転倒を誘発するリスクがあります。「いつもの動作で大丈夫ですよ」と声をかけ、必ず安全を確保しながら実施することが何よりも重要です。
「TUG」に関するよくある質問(FAQ)
Q. TUGは何秒くらいだと普通なのですか?
A. 一般的に、自立して歩行できる高齢者の多くは10秒以内、転倒リスクが高まる目安としては13.5秒から15秒以上がひとつの基準とされています。ただし、年齢や疾患によっても異なるため、基準値だけに囚われず、その患者さんの「前回のタイムと比較してどう変化したか」を見るのが現場の鉄則です。
Q. 測定するときに履く靴は決まっていますか?
A. 普段、施設内や院内で履いている靴で測定するのが基本です。TUGの目的は日常生活の能力評価ですので、特別な運動靴ではなく、いつも通りの環境で評価することで、リアルな転倒リスクを把握することができます。
Q. 途中でふらついたり、手をついてしまったりした場合はどうすればいいですか?
A. 測定中に介助が必要になった場合や、手をついてしまった場合は、その旨をカルテに明記した上で、測定結果とともに「注意が必要である」という事実をチームで共有してください。無理に最後まで測り切る必要はありません。安全第一がすべての基本です。
まとめ:現場で役立つ「TUG」の知識
- TUGは「立ち上がり・歩行・着座」の一連動作を評価する簡単なテストである。
- 転倒リスクの予測やリハビリ効果の判定に広く活用されている。
- タイムよりも「安全に測定すること」が最優先である。
- 過去のデータと比較して、患者さんの変化を見逃さないようにする。
慣れないうちは、タイムを測ること自体に緊張してしまうかもしれません。ですが、TUGは患者さんの安全を守るための大切な「道しるべ」です。少しずつ測定に慣れて、チームで患者さんの安心を支えていきましょう!
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