【既往歴】とは?医療・介護現場での意味や使い方を分かりやすく解説

既往歴
(Past Medical History)

医療や介護の現場で頻繁に耳にする「既往歴(きおうれき)」。カルテや申し送りで必ずと言っていいほど登場する言葉ですが、新人時代は「どこまで詳しく書けばいいの?」「現病歴と何が違うの?」と戸惑うことも多いのではないでしょうか。

既往歴は、利用者さまや患者さまが「過去にどのような病気を経験してきたか」を示す大切な情報の羅列です。これを知ることは、単なる記録作業ではなく、その方の身体的背景やリスクを理解し、現在のケア方針を決定するための「重要な地図」を手に入れることと同じなのです。

「既往歴」の意味・定義とは?

既往歴とは、英語でPast Medical Historyといい、その人が過去にかかった病気や、治療を受けた経験のことを指します。簡単に言えば「病気の履歴書」です。現在進行中の病気(現病歴)とは区別され、完治したものや、経過観察中の慢性疾患などもここに含まれます。

医療現場の電子カルテでは、略語としてPH(Past History)と表記されることが一般的です。また、手術の経験がある場合は「既往歴・手術歴」と併記されることが多く、過去の病歴が現在の生活習慣や薬の飲み合わせにどう影響しているかを把握するために、非常に重要な指標となっています。

医療・介護現場での実際の使われ方・例文

現場では、多職種連携を行う際のカンファレンスや、日々の申し送りで日常的に使われます。情報共有のスピードが求められる場面で、どのように使われているか具体例を見てみましょう。

  • 「利用者さまの既往歴に脳梗塞があるため、麻痺側の転倒リスクに注意しながら移乗を行いましょう」
  • 「既往歴を確認したところ糖尿病をお持ちですので、食事摂取量だけでなく血糖コントロールの状況も把握しておいてください」
  • 「入院時の既往歴に心疾患の記載がありますが、本日のバイタルチェックで胸部の違和感などはありましたか?」

「既往歴」の関連用語・現場での注意点

既往歴を語る上で欠かせないのが「現病歴(Present Illness)」です。既往歴は過去の病気ですが、現病歴は「今まさに治療している病気」のこと。新人の方はこの2つを混同しやすいため注意が必要です。また、最近では電子カルテのDX化が進み、他院からの紹介状データが自動で既往歴欄に反映されるシステムも増えていますが、内容が最新のものか確認する癖をつけましょう。

最も注意すべきは、「既往歴として申告されていない潜在的な病気」の存在です。特に認知症がある方や、ご家族からの情報提供が乏しい場合、既往歴がすべてとは限りません。普段の観察で「あれ?この薬を飲んでいるということは、実はこの疾患があるのでは?」と気づく視点が、専門職としてのスキルアップに繋がります。

「既往歴」に関するよくある質問(FAQ)

Q. 軽度な風邪や腹痛も既往歴として書くべきですか?

A. 基本的には、治療のために入院した、あるいは長期的な通院が必要だった大きな病気や手術を記載します。数日で治るような一時的な風邪などは、通常、既往歴には含めません。

Q. 「持病」と「既往歴」はどう違いますか?

A. 厳密な定義はありませんが、持病は現在も継続して治療やケアが必要なもの(慢性疾患)を指すことが多く、既往歴はそれを含めた過去の病歴全般を指す包括的な言葉として使われます。

Q. 既往歴が不明な場合はどう対応すればいいですか?

A. 決して「ない」と決めつけず、お薬手帳を確認したり、ご本人やご家族に詳しく聞き取りを行ったりすることが大切です。それでも不明な場合は、カルテに「詳細不明」と記載し、リーダーや医師へ報告し連携を図りましょう。

まとめ:現場で役立つ「既往歴」の知識

  • 既往歴は「過去の病歴」であり、現在のケア方針を決める重要な判断材料になる。
  • カルテ上の「PH」や「既往歴」の項目は、チームで患者・利用者のリスクを共有するためのもの。
  • 現在の病気である「現病歴」とはしっかり区別して理解する。
  • 既往歴のデータだけに頼らず、日々の観察や聞き取りで情報を更新し続ける意識を持つ。

最初は覚えることが多くて大変だと思いますが、既往歴を読み解く力は、利用者さまのこれまでの人生を理解する第一歩です。焦らず、少しずつ知識を積み重ねていきましょう。現場の先輩として、あなたの成長を応援しています!

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