【PEEP】とは?医療・介護現場での意味や使い方を分かりやすく解説

PEEP
(Positive End-Expiratory Pressure)

救急外来やICU(集中治療室)で勤務していると、人工呼吸器の設定画面やモニターで「PEEP」という言葉を目にする機会が必ずあります。一言でいうと、PEEPとは「吐き出す息の圧力を少しだけ残すことで、肺がしぼまないようにキープする仕組み」のことです。

「息を吐ききった後にも圧力をかけるなんて苦しくないの?」と不思議に思うかもしれませんが、これは肺の小さな空気の袋(肺胞)がペシャンコになるのを防ぎ、効率よく酸素を取り込むために非常に重要な役割を果たしています。医療現場では、呼吸不全の患者さんをサポートする際の「基本の守り神」のような存在なのです。

「PEEP」の意味・定義とは?

PEEPは、英語のPositive End-Expiratory Pressureの頭文字を取った言葉で、日本語では「呼気終末陽圧(こきしゅうまつようあつ)」と訳されます。文字通り、息を吐き終える(End-Expiratory)タイミングで、陽圧(Positive Pressure:大気圧よりも高い圧力)をかけるという意味です。

私たちの肺は、通常であれば息を吐ききってもある程度の空気が残るようにできています。しかし、重症の肺炎や心不全などの状態では、肺がしぼみやすくなり、そのままでは酸素交換がうまくできません。そこで人工呼吸器を使ってあえて圧力をかけ、風船を少し膨らませた状態を維持することで、効率的な呼吸を助けているのです。

医療・介護現場での実際の使われ方・例文

現場では、医師が設定を変更したり、看護師がモニターを確認したりする際に頻繁に登場します。特に2026年現在のスマートホスピタル環境では、電子カルテや呼吸器モニターの数値がリアルタイムで連動しており、PEEPの設定値が適正かどうかを多職種で共有することが標準となっています。

  • 「患者さんの酸素濃度が下がってきているので、医師に相談してPEEPを少し上げてみようか」
  • 「PEEPの設定を5から8に変更しました。血圧の変動がないか確認をお願いします」
  • 「今朝の申し送りで、肺の状態が良くなってきたからPEEPを下げてウィーニング(離脱)を開始する方針になったよ」

「PEEP」の関連用語・現場での注意点

PEEPを理解する上で一緒に覚えておきたいのが「肺胞虚脱」「Auto-PEEP(自己PEEP)」です。肺胞虚脱は、PEEPが足りずに肺がしぼんでしまうこと。逆にAuto-PEEPは、吐き出しきれない息が溜まってしまい、体内に不必要な圧力がかかってしまう状態を指します。

新人スタッフが特に注意すべきなのは、「PEEPを上げすぎると血圧が下がることがある」という点です。肺にかかる圧力が強すぎると、心臓に帰ってくる血液の流れが妨げられてしまうことがあるため、呼吸器の設定変更時は必ずバイタルサイン(血圧や心拍数)の変化をセットで確認するようにしてください。

「PEEP」に関するよくある質問(FAQ)

Q. PEEPが高いと患者さんは苦しくないのでしょうか?

A. 適切に設定されていれば苦しくありません。むしろ、PEEPによって肺がしっかりと広がるため、酸素が取り込みやすくなり、呼吸が楽になるケースがほとんどです。ただし、設定値が患者さんの状態に合っていない場合は、呼吸器と喧嘩をしてしまう(同調不全)ことがあるため、日々の観察が大切です。

Q. PEEPの数値は何センチ水柱(cmH2O)が標準ですか?

A. 一般的には5cmH2O程度から開始されることが多いですが、患者さんの病態によって大きく異なります。重症のARDS(急性呼吸窮迫症候群)などの場合は、もっと高い圧力をかけることもあります。あくまでその患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドの設定が必要です。

Q. 介護職ですが、PEEPがついている患者さんのケアで気をつけることはありますか?

A. 患者さんの体位変換やオムツ交換の際に、呼吸器の回路が引っ張られないよう十分に注意してください。また、PEEPの設定値が急激に変化したり、アラームが鳴り止まない時は、すぐに看護師や医師へ報告することが、安全を守るための最短ルートです。

まとめ:現場で役立つ「PEEP」の知識

  • PEEPは「吐き出す息に圧力をかけて、肺をしぼませないための設定」である。
  • 肺胞虚脱を防ぎ、効率的な酸素取り込みを助ける重要な役割がある。
  • 設定変更時は、呼吸状態だけでなく血圧の変化にも注意を払う。
  • 医療DXが進む現場でも、最終的に患者さんの顔色を見る「観察の目」が何より重要。

専門用語が出てくると最初は圧倒されてしまいますが、一つひとつ紐解いていけば必ず理解できます。今日の知識が、明日からの現場での自信につながることを応援しています!

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