(Endoscopic Submucosal Dissection)
消化器内科や内視鏡室で耳にする「ESD」という言葉。これは「内視鏡的粘膜下層剥離術」という、早期がん治療における非常に重要な手術手技を指します。
一言でいうと、お腹を切らずに、内視鏡を使って「がんの部分を大きく、きれいに剥ぎ取る」手術のことです。2026年現在の医療現場では、早期胃がんや大腸がんに対して、身体への負担が少ない治療として日常的に行われています。
「ESD」の意味・定義とは?
ESDは、Endoscopic Submucosal Dissectionの頭文字をとった略語です。日本語では「内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)」と訳されます。
簡単に仕組みを説明すると、内視鏡の先から専用の電気メスを出し、がんがある病変の粘膜の下(粘膜下層)を少しずつ切り進めて、病変を一塊にして剥ぎ取る治療法です。従来の治療法では難しかった「大きい範囲のがん」も、このESDならきれいに切り取ることができるようになりました。
医療・介護現場での実際の使われ方・例文
現場では「ESD」とそのまま呼ぶのが一般的です。手術の予定調整から、術後の看護ケアまで、この言葉は頻繁に飛び交います。
- 「来週、胃がんのESD予定が入っているから、術前の抗血栓薬の休薬を確認しておいてくれる?」
- 「今回のESDは病変が少し大きいから、術後の出血リスクに注意して観察をお願いします。」
- 「患者さんから『ESDって体に傷は残りますか?』と聞かれたら、お腹の外側には傷がつかないことを伝えてあげてくださいね。」
「ESD」の関連用語・現場での注意点
現場では、「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」という似た言葉と混同しないことが大切です。EMRは病変をスネア(輪っか)で絞って切る方法ですが、ESDは電気メスで切るため、より大きな病変に対応できるという違いがあります。
新人スタッフが特に注意すべきなのは「術後の出血」です。ESDは広い範囲を剥がすため、術後数日〜1週間程度は出血のリスクがあります。黒色便が出ていないか、バイタルサインに変化がないか、電子カルテの観察項目を注意深くチェックすることが重要です。
「ESD」に関するよくある質問(FAQ)
Q. ESDは全身麻酔で行うのですか?
A. 基本的には鎮静剤を使用して、うとうと眠っているような状態で実施することが多いです。患者さんの状況や施設の判断により全身麻酔で行う場合もありますが、お腹を切る手術に比べると患者さんの体への負担は大幅に軽減されます。
Q. 入院期間はどれくらいかかりますか?
A. 一般的には、術前の検査や術後の観察を含めて、1週間程度の入院が必要となることが多いです。ただし、病院のクリニカルパスや病変の場所、経過によっても異なるため、必ず担当医や看護師に確認しましょう。
Q. ESDが終わった後は、すぐに食事をしていいのですか?
A. いいえ、すぐには食べられません。剥ぎ取った跡は大きな傷口なので、消化管を休めるために医師の指示が出るまで絶食や点滴管理となります。食事開始のタイミングは「絶食解除」として、個別に判断されるのがルールです。
まとめ:現場で役立つ「ESD」の知識
- ESDは「内視鏡でがんを大きく剥ぎ取る」体に優しい治療法であること。
- EMRとは切り方が異なり、より広範囲の病変に対応できること。
- 術後は出血リスクの観察が看護の要となること。
専門的な治療法ですが、一つひとつ仕組みを理解すれば怖くありません。先輩や医師と連携を取りながら、患者さんの安全を一緒に守っていきましょう。焦らず、確実に知識を積み重ねていってくださいね。
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