(Sudden sensorineural hearing loss)
「突発性難聴」とは、ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなる疾患のことです。
朝起きたら急に音がこもって聞こえる、あるいは電話の音が聞き取れないといった症状で発症することが多く、放置すると取り返しのつかない聴力障害につながる可能性があるため、スピード勝負の対応が求められます。
医療・介護現場では、患者さんから「耳の詰まり」や「めまい」の訴えがあった際に、この疾患が隠れていないかを常に意識する必要があります。
特に高齢者施設では、加齢による難聴と混同されがちですが、早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、現場スタッフの気づきが非常に重要な役割を果たします。
「突発性難聴」の意味・定義とは?
医学的には「Sudden sensorineural hearing loss」と呼ばれ、原因不明で突然、内耳の機能が低下する感音難聴の一種です。
明確な原因は分かっていませんが、ウイルス感染や内耳の血流障害などが有力な説として挙げられており、多くの場合、左右どちらか一方の耳にのみ発症します。
カルテや診療録では、時間短縮のために「突難(とつなん)」と略されることが一般的です。
また、治療の際、電子カルテのオーダーセットには「ステロイド全身投与」や「循環改善薬」といった項目が並ぶことが多く、発症から48時間以内、遅くとも1週間以内の治療開始が「聴力を守るためのタイムリミット」とされています。
医療・介護現場での実際の使われ方・例文
現場では、患者さんの「聞こえ」の変化をいち早くキャッチし、医師や看護師へ正確に伝えるための共通言語として使用されます。
以下に、実際の現場で交わされる会話の例を挙げます。
- 「患者さんから今朝になって急に右耳が詰まった感じがするという訴えがありました。突難の疑いもあるので、早急に耳鼻科受診の調整をお願いできますか?」
- 「〇〇さん、昨日から突難でステロイド治療を開始しています。副作用の胃不快感が出ていないか、注意して観察をお願いします。」
- 「加齢性の難聴だと思っていたら、実は突難でした。早期治療のおかげで聴力がかなり戻ってきているので、今の聴力レベルに合わせたコミュニケーションを意識しましょう。」
「突発性難聴」の関連用語・現場での注意点
現場で必ずセットで覚えておきたい関連用語には、「感音難聴(かんおんなんちょう)」や「メニエール病」があります。
突発性難聴は、メニエール病と異なり「反復しない(一度きり)」という大きな特徴がありますが、初期症状は非常によく似ているため、慎重な鑑別が欠かせません。
新人スタッフが特に注意すべき点は、高齢者の場合「なんとなく聞こえが悪い」という訴えを、認知症の進行や加齢によるものと決めつけてしまうことです。
DX化が進む昨今の現場では、電子カルテの経時的な聴力検査結果をグラフで見比べることも可能ですので、前回のデータと比較して急激な低下がないかを確認する癖をつけておきましょう。
「突発性難聴」に関するよくある質問(FAQ)
Q. 突発性難聴は、ストレスが原因ですか?
A. ストレスが誘因の一つである可能性は指摘されていますが、それだけで断定はできません。精神的な要因で片付けず、内耳の器質的な疾患である可能性を考慮し、必ず耳鼻咽喉科専門医の診察を受けることが重要です。
Q. 耳鳴りやめまいがあれば、すべて突発性難聴ですか?
A. いいえ、そうとは限りません。突発性難聴の三大症状は「難聴」「耳鳴り」「めまい」ですが、これらが揃わないケースも多いです。他の疾患との鑑別が必要ですので、症状の有無だけでなく、発症のタイミングを詳細に記録することが大切です。
Q. 一度治れば再発はしませんか?
A. 突発性難聴は原則として「一度きり」の病気です。もし同様の症状を繰り返す場合は、メニエール病や他の聴覚障害の可能性があるため、その旨を医師にしっかりと申し送りましょう。
まとめ:現場で役立つ「突発性難聴」の知識
- 突発性難聴は、突如として聴力が低下する緊急性の高い疾患である。
- 発症後すぐの治療開始が、その後の聴力回復を大きく左右する。
- 「加齢のせい」と決めつけず、急激な変化には常にアンテナを張る。
- カルテや申し送りでは「突難」という略語がよく使われる。
「聞こえにくい」という患者さんの声は、現場における重要なアラートです。
最初は専門用語が多くて戸惑うかもしれませんが、日々の観察を積み重ねることで、異常にいち早く気づける頼もしいスタッフになれますよ。一緒に頑張りましょうね。
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